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ここにも後継者不足の波?

先日、この4月から始まる鳥の調査の事前説明会に久し振り(十ン年ぶり?もっと久々だったりして)に参加しました。

4年に一度ずつ実施されている調査で、もう何度も経験していることですので、調査の説明自体は何ということもなかったのですが、全然別のところでびっくりしちゃいましたねェ。

何に驚いたかというと、参加者の顔ぶれが十ン年前とたいして変わり映えがしないこと。もう一つ付け加えると、その日の参加者の中で行政のスタッフの方を除けば自分が一番若手と言っていいぐらいの年齢構成だったこと。後日、この話を別のところでしたら、その場に居合わせた方のほとんどが「えっ!」と声を上げて驚かれていましたが、あまり素直に驚かれても、「俺って、そんなに高齢かいっ?」とそれはそれで少々抵抗もあるんですが。

まあ、そんな個人的な話はさておき、4年に一度の調査ですから、もう何回か後を考えると正直「ちょっとヤバくないかい」って思っちゃいました。農業や伝統工芸ではよく出る話ですが、こっちもこっちで後継者不足の心配がありそうです。

かくいう当人も、かれこれ20年以上この種の調査を続けているので、「こういうふうに惰性でダラダラ続けているやつがいるから後継者が出てこないのかも」なんて思ったりもしますが、さりとて地位?を脅かすような若い人材も顔が思い浮かびません。(何の地位じゃ)

「地球温暖化」なんて言葉が普通に井戸端会議でポンポン飛び出し、エコを頭に乗せたイベント、商品などは氾濫気味とも思えるほど。自然環境に関心を持つ人が増え、バードウォッチングも、一時期のようにブームと騒がれるような状態ではないようですが、雑誌の特集やCMなどにも頻繁にカワセミなどが採り上げられており、昨年のコウノトリの繁殖などでもたくさんのギャラリーが登場したことなど考えると、それなりにすそ野はあるようです。

たまたま目にした範囲でのことなんで地域的な事情といった面もあるでしょうし、「俺のところは若いのたくさんいるよっ」ってな状況も当然あるとは思いますが、複雑な利害の絡む政治の世界などでも、政策を並べ立てるよりもワン・フレーズ、ツー・フレーズの短い言葉で聴衆受けするようなキャッチコピーを押し出す候補者の方が票を集めるような世相。人目を惹くようなイベント的なものや体験活動のようなものは興味を集めても、調査を重ねてデータを積み上げるような、効果のほどもはっきりしない活動には関心が薄れている傾向はあるのかもしれません。

同じ鳥の調査でも、私たちが行っているような観察結果を記録するものとは異なり、捕らえた鳥に標識を付けて放し渡りの経路などを調べる、標識調査(通常「バンディング」と呼んでいます)というものもあります。数が減っているとはいえ、広い地域を移動する膨大な数の渡り鳥を捕えて一羽ずつ番号を記した足輪を付け、偶然他地域で再度捕まるのを期待する、という、経済学的に考えると何とも効率の悪い調査ですが、個体識別の難しい渡り鳥の生態や移動経路などを調べるには他に方法がなく、その大半は手弁当のボランティアの手で行われています。

このバンディングを批判するサイトがネット上に広がっているというのを教えてもらい、私もいくつか覗いたことがあります。

「小さな小鳥を網にかけて捕まえ金属の足輪を付けたりするのはかわいそうだ」というのが根本の主張のようで、中には、夏鳥の減少の元凶のように扱っているところもあって、思わず苦笑。実際には先に述べた通り、ボランティア頼みで、それほどの影響力を発揮するほどちゃんとした体制にはほど遠く、偶然頼みのこととて、かなり熱心に取り組んでも運よく渡った先で再捕獲されるような例は年に何例も出ないのが実際のところ。

実際の調査活動は個々の調査者任せなので問題のある事例が起きる可能性も考えらないことはありませんが、まんいち保護活動を行う必要が出てきたときに、生態の分かるような記録がないと対策の施しようもないわけで、「網にかかった小鳥の姿がかわいそう」という方ばかりに目が行き、そういった視点が全く抜け落ちていては、単なる感情論に終わってしまいます。

松枯れが問題になったときに、「松林の保護」と称して国の施策として保全の網をかけたところ、元々やせ地を好む松にはこれがまったくの逆効果で、よけいに衰退を速めてしまった、という笑えない冗談のような例もありますが、現在も、クマやシカ、イノシシなどの野生動物に対して、よく実態もつかめないまま農業被害などを理由に駆除が進められようとしてます。

最近では、環境への配慮が当たり前のようになってきて経済活動への影響が大きくなってきた反動か、都合のよいデータだけをつなげて「環境問題のウソ」みたいな主張を繰り広げる書籍も増えてきているようですが、ちゃんとしたデータの蓄積がないとこういった主張に反論できないばかりか、逆にやすやす丸め込まれてしまいかねない心配もあります。
そういった面からも、若い層からの関心が薄いのは淋しいものがあります。

なんて並べてくると、いかにも高尚な考えで調査に取り組んでいるようですが、実際大半の調査者の方はそうなんでしょうが、少なくとも私の場合、調査を続けている理由の8割方は、単に断るのが下手なのと区切りをつけるのが苦手でダラダラ惰性に流されやすい性格。

そして、一番の重要ポイントは出かける口実になること!堂々と仕事をさぼれますからねェ(この部分、非公表です)。

ただ、こまめに観察を続けていると、ちょいちょい思わぬご褒美にありつける役得?もそれなりにあるんですよね。予想外の出会いだったり、持続して見ていることで初めて見えてくることもあったり。

そういった部分を積極的に伝えるような方法を真剣に考える必要はあるのかも。

そのためというわけでもありませんが、現在我がセンサスグループでは、平和公園の調査の20年分の記録をまとめています(はは、うまく話がつながった)。

「たまには売れ行きのよくなりそうな内容の本を」という世話人の提案はあっさり却下されて、どんどん地味な内容に追い込まれてますが、その分、資料としては中身の濃いものが期待できそう(かな?)。

まだ、完成はかなり先になりそうな雰囲気ですが、完成したら売上にご協力お願いしますね。よろしく。


名古屋市平和公園鳥類生息調査、世話人より
census * 時事刻々 * 08:37 * comments(4) * trackbacks(1) * pookmark

コメント

森様へ
こちらもそれほど奥深い知識があるわけではありませんが、特に里山の場合、生態系といった面だけではなく、農林業と結びついた生活文化の側面があり、経済活動的な面がからんでくるだけに余計難しいです。一度、メールを送らせて頂きますね。
Comment by 世話人 @ 2008/03/18 8:27 PM
ご説明ありがとう。
森の話は、少しの文章では書き表せないほど、奥が深いものですね。また、ブログのコメントではとても議論できるような種類のものでもありません。
一度お会いして、森の話ができれば幸いに思います。
この件について、メールいただけないでしょうか。
私は日進市在住で、平和公園にも森を見たり、野鳥など観察に出かけてもいます。森の話などの意見交換できればうれしいですね。
Comment by 森 @ 2008/03/18 6:25 PM
「森番」様、今日は。コメント、ありがとうございます。
松はヤセ地を好む陽樹で、落ち葉かきや下草刈りなど人の手で手入れをしないと、植生の遷移が進んで照葉樹などに負けてしまいます。これを原生林などと同列に地域内の伐採や採集を禁じてしまうと、松にとっては、ますます生存しにくい環境になってしまします。
こんな説明で分かりますかネエ。
Comment by 世話人 @ 2008/03/05 10:36 AM
私は少しばかり森に関心を持つ者ですが、「松枯れが問題になったときに、「松林の保護」と称して国の施策として保全の網をかけたところ、元々やせ地を好む松にはこれがまったくの逆効果で、よけいに衰退を速めてしまった、という笑えない冗談のような例もありますが」と結論づけておられますが、「保全の網」・「衰退を早めた」との意味がよく理解できません。お手数ですが具体的にご説明願えないでしょうか。
Comment by 森番 @ 2008/03/05 8:42 AM
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