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またぞろ熊騒ぎでしたねエ

JUGEMテーマ:地域/ローカル


またまた昨年の話題で恐縮ですが、2010年は2007年に続き日本各地でクマの異常出没が話題になりましたねエ。

と他人事みたいに言ってますが、とっくに絶滅したはずの当愛知県、しかも瀬戸辺りでも捕獲されてるんで、どこかでバッタリてなこともあながちあり得ない話ではなくなってきて、流石にこれにはビックリしました。

メディアの報道では、今回もいろんな立場の専門家のコメントが紹介されていましたが、やはり主流は相変わらず「ドングリ不作説」。「日本中のどこを探してもまだドングリなんて生ってないだろ」って感じの夏場も出没騒ぎが起こってるのに「今年は、ブナやミズナラの実が・・・」って言われてもな、と思っていたら、「猛暑でジバチが不作」というコメントも。

「スギ、ヒノキの人工林ばかりになって」とか「里山の荒廃で」とか表現は少しずつ異なるものの、山の環境の変化による餌不足に理由を求めるコメントがやはり多かった。

ただ、スギ、ヒノキの人工林の割合がやたら多かったり、里山が放置されたり、といった話は何も今に始まったとこではなく、「説得力はイマイチ」と思っていたら、「鷲と鷹」の写真家、宮崎学さんから「クマの数が増えている」との異論が出てきて、やっと少しすとんと腹に落ちる見解が出てきた気が(残念ながら、全国レベルであまり大きく取り上げられることはなかったですが)。

相変わらず、歯がゆかったのは、「実際、今現在のクマの生息状況はどうなってるの?」という視点からの報道が全くなかったこと。相変わらず減り続けているのか、逆に増え過ぎぐらい増えているのかで、対策の取りようは全然変わってくると思うんですが。

地域によっては、自治体レベルでも割にきちんと生息数を把握しようと試みているところもあるようですし、クマ以外にもシカの食害やイノシシ等の農業被害など野生動物の生息状況から起こる問題が色々出てきていることから、「生息数の管理」といった視点から体制を整備しようとする試みに国レベルで取り組み始めた、といった報道を何年か前に見た覚えもあるのですが、そういった面に対する行政からの言及が取り上げられた報道は記憶にないし、メディア側のからその辺りを突くような動きも全くと言ってよいほどなかったような。ちょうど、仕事でバタバタしていた時期と重なるため、世話人が見落としているだけという可能性もありますが。

何か問題が起こった際、それに対する対処法を考える際、まず「ちゃんとした数字(データ)を把握しないと」と考えるのがセオリーだと思いますが、ともすれば、先入観や固定観念にとらわれたり、情緒的な感情に流されて対応しがちな国民性があるような。

何かと自分たちの都合だったり、しがらみに流されがちで、なお且つ余分な失点に繋がることには手を出したがらない行政サイドはまだしも、市民サイドで保護を訴える側も、それぞれの立ち位置があってなかなか一つにまとまらない例が多いんで、難しいんですよね(特定の地域の「森を守ろう」なんて話になると、けっこう保護団体同士で罵り合いになったりすることがあるんで、しゃれにならんのですが)。

例えば、森なり林なりの環境を守ろう、というときには、現在の状況はもちろん、歴史的文化的な背景(これによって、地域の中の位置付けという人間様の都合だけでなく、植生や土壌の質なども異なったりする)によっても進め方が異なってきます。更には、経済やその地の立地条件等も、むろん無視してしまっては実現が覚束ないことになります。

松林としての景観を残したい場合と、生物の多様性を追い求めたい場合では、当然アプローチの仕方が異なり、全ての条件を満足させる方法はないので、その場に最も相応しいと思われる方向性を決める(もちろん、実現の可能性を考えた妥協も含めて)必要があるんですが、そういった諸々を無視して理想論に固執したり、「人が手を加えることは全て自然破壊」みたいな考え方の方から、「可哀想」とか「可愛いから」といった好みの問題を保存や排除の判断基準とする方、はたまた、釣りや写真などの自分の趣味の都合が最優先の方等が入り乱れるので、ちゃんと意見を集約することは「至難の業」と言ってもいいほど。

対する行政側は、「人手もお金もかけず、そのまま見ていりゃ自然保護」になるんだったら「勿怪の幸い」だったりするんで、ほんと難しい(段々、いつもの愚痴っぽくなってきた)。

生態系の繋がり自体、複雑すぎて、現代科学でもなかなか正確な予測は難しいぐらいで、それなりの取り組みを始めたにしても、影響を見極めるには時間がかかるし、人手や費用の壁があって、理想通り進めるのは難しいことが多い。それよりは「手つかずの森は尊い」だとか「緩やかな自然の遷移に任せるのが自然を守る道」といった話の方が一般には遥かに通りがいいので、世論の流れとしては、情緒的な訴えの方へ傾きがち。

だいたい、好き嫌いや情緒的な方向で押してくる相手を理論的に説得するのが難しいのは、夫婦間のもめ事を考えれば分かります(これ、ここだけの話。もちろん、我が家は違います。たぶん・・)。

生物調査ということでは、野鳥を対象にしたバンディング(標識調査)も風当たりが強い。

カスミ網等で捕獲した野鳥に標識を付けて再び放す調査ですが、「見た目が可哀想」ということに加えて、一部写真屋さんたちに、調査自体が撮影の邪魔になるという意識が強いのと、自分の写した写真で野鳥の足に標識が付いていたりすると「写真の価値が下がる」みたいな気持があるようで、反対運動みたいな動きがあり、それ専門のサイトま出てきてます。

世話人も以前にそのようなサイトを覗いたことがありますが、不適切な実施方法で犠牲になった野鳥の事例を過激な調子で紹介し、まるでバンディング調査自体、夏鳥の減少の一因になっているかのような極端な主張まで記されていました。

大半のバンダーは通常手弁当で標識等の提供のみ受けて実施するボランティアなので、中には不適切な例もあるのかもしれませんし、適切な方法で行っていてもアクシデントで死亡する例もなくはないですが、渡りの鳥の総数に比べれば国中の捕獲数をかき集めてもお話にならないくらい少数でしかないので、生息数に影響を与える、てなことはとてもとても。

逆に、調査の成果自体、長年の積み上げプラスかなりのラッキーが加わって、ようやく、渡りの実態の一端がつかめる、といった塩梅で、気候変動の影響で大きく生息数の増減が心配されている種もままある中、今の体制で大丈夫なのかと心配になるぐらいなんで、問題のある事例にたいしてどうこうはあるにしても、調査自体に反対というのはどうかと思うんですが、野鳥の保護には熱心であるべき野鳥の会内部にも同調するような向きもあって、思わず「う〜ん」とうなるしかない。

ちゃんと生態が分かってないと、保護を必要とする事態が起きても、対策の立てようがないと思うんですが。

生物調査ということでは、我が愛知県や名古屋市でも定期や単発含め様々行われていて、世話人も長年お手伝いを務めさせて頂いておりますが、せっかくのデータを蓄積、活用するような体制が、県、名古屋市のどちらも十分に整っているとは言い難い状態で、とりあえず、きちんとデータを集積して市民の側でも活用できるような体制を作りたい、という事で、常勤の学芸員を備えた「自然史博物館」、あるいは「生物多様性センター」といった施設(組織)の設立を、たくさんの方が様々な機会をとらえてお願いしていますが、今のところ県、市ともに反応はイマイチ。

ちょうどどちらも選挙の季節に入っていますので、あまり深入りは避けますが、タダでさえ財政が厳しい時に、減税基調で選挙戦が行われていますから、どなたが当選しても、ますます見通しが厳しくなりそうな・・。

我々のような一部業界人(?)のみでなく、広く一般に必要性の認識が広がってくれるといいのですが、先のクマ騒動の例を引くまでもなく、メディアもこういった地道な領域は関心薄いですからねエ。

夏場の調査では、斎藤佑ちゃんバリに揃いのタオルハンカチで汗をふくとか、世間の関心を集めるような手はないですかねエ(年々、「さわやか」という言葉とは縁遠くなってるんで、やっぱ、厳しいかも)。

いっそ、森ガールとか山ガールに倣って、フィールド・ワーク命のセンサス・ガールなんて出てこないですかねエ。

最も、最近はガールの対象年齢も限りなく広がってるそうなんで、年齢構成も問題ですが。

う〜ん、悩みは尽きませんねエ(そのうち、頭、禿げるかも・・・)。


名古屋市平和公園鳥類生息調査、世話人より
census * 時事刻々 * 21:41 * comments(2) * trackbacks(0) * pookmark

コメント

センサスの本をまとめた時も思ったんですが、自分たちで行った調査でも、データをまとめてみると日頃の印象と差を感じる部分があったりしますから、やっぱり、きちんとまとまった形でデータを管理できる体制があるのとないのとでは大違い。
行政からすると、下手に見える形にしちゃうと対応を迫られる、といった面もあるので、広く一般に関心のある人が増えて欲しいんですが、難しいですねエ。
特定の希少種などは耳目を集めても、肝心のバックボーンとなる環境まで考え及ばなかったり、先入観やマスコミ受けするストーリーで納得したり、といった感じの方が多いですから。
Comment by 世話人 @ 2011/02/05 7:32 PM
ツキノワグマについてですが、愛知県の公式情報だけでも、先回の大量出没よりも倍近く報告件数があるのと、猿投山麓の豊田市側(旧藤岡地区)での報告も頻発しているので、同じ山麓の瀬戸川の某所も充分に可能性が今後あるので怖いです;
そこでとあるMLで注意を促すメールなどをしたのですが、周りの反応はやはり「追い詰められてここまで来てしまった可愛そうな動物」というものが主で、生息数や行動の変化などへの見地にはなかなかいかず・・・。
動物や森のこと、鳥のことは客観的で具体的な情報や、ある程度の期間をかけて見てこないと分からないことが多い、と感じているのですが、そこまで踏み込める人や期間がとっても限られてしまっているのが課題だと感じています。
Comment by ウリカエデ @ 2011/02/05 5:30 PM
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